レビュー

[レビュー][threecolumns]

【Pixel Watch】モバイルSuica対応にLINEのログの確認も可能。高機能さを兼ね備えたGoogle初のスマートウォッチPixel Watchレビュー


様々なメーカーがしのぎを削るスマートウォッチ。スマートフォンのスペックが一定のレベルを超えてきたこともあり、買い替えをするニーズも減ったことと、健康志向の高まりも受けてスマートウォッチのニーズ自体も上昇しています。そんななかGoogleも自社ブランドのPixel Watchを登場させ、日本向けにはモバイルSuicaに対応したモデルを投入しました。

発表直後は各通販から一気に在庫が蒸発したほどの人気を誇ったGoogle Pixel Watch。私も発売日に購入をし、約2週間に渡ってメインのスマートウォッチとして利用してきました。本記事では、実際にPixel Watchを買って良かった点と、悪かった点を本音でレビュー。ぜひ、スマートウォッチの購入を迷っている方のご参考になれれば幸いです。



スマートウォッチとしては小型で、スタイリッシュなディスプレイ


     

     

Pixel WatchのパッケージはGoogleのロゴを中心においてGoogle謹製らしさを前面にしたデザイン。パッケージを開けるとすぐに本体が登場します。同梱品は本体の他には充電ケーブルと説明書のみ。なお、充電ケーブルはスマートウォッチのものとしては珍しく、USB Type-Cが端子になっています。


     

本体の前面は他のスマートウォッチではほとんど見かけない3Dラウンドエッジのディスプレイが配置。ディスプレイの直径は41mmと、47mmほどあるTicWatch Pro 3 Ultra GPSなどに比べるとかなり小ぶり。ディスプレイサイズも1.2インチほどと、1.4~1.6インチの多い他のスマートウォッチに比べると小さめです。

本体右側には電源キーも兼ねるリューズを装備。このリューズは回転させることで画面のメニューを操作する上下キーとしても利用可能。また、分かりづらいですがリューズの上部に別途ファンクションキーを装備。押下すると最近利用したアプリの一覧が表示され、頻繁に使うアプリに簡単にアクセスできます。


標準付属のバンドも含めた重量は63g。一部の軽量なスマートウォッチを除けばだいたい同じくらいの重量感です。ステンレススチール製のPixel Watchは画面の小ささにしては重く、持ち上げると重量感を感じる仕上がりでした。

     

ハイエンドなスマートウォッチとして、Amazfit GTR 3 Pro(左)TicWatch Pro 3 Ultra GPS(中央)、そしてPixel Watch(右)を比較。画面サイズでは、AmazfitとTicWatchが概ね同じサイズで、Pixel Watchだけが突出して小さい印象でした。

対して厚みでいえばPixel Watchのほうが3モデルの中でも一番厚みがある感じ。そもそもの素材が異なることもありますが、ディスプレイサイズが大きい製品のほうがバッテリーを収納するスペースも確保しやすいといった点もありそうです。

     

Pixel Watchのディスプレイは約1.2インチの小型AMOLEDを採用。ベゼル部分が太いこともあり、手首につけてみるとディスプレイの表示部の面積の割には盤面が大きく見えます。3Dカーブのラウンドエッジによって丸形のデザインでありながら近未来感のあるスマートウォッチっぽさを出しているのは面白い感じ。手首のアクセサリーの一つとしても映えます。

盤面については予めPixel Watchに用意してあるデザインに加え、Google Playに公開されているサードパーティ製のものも利用可能。写真はPixel Watchにデフォルトで搭載しているもの。盤面の常時表示にも対応しており、常時表示時には待機中は秒針の表示を省略することでバッテリーの消費を抑えています。

Google謹製だからできる多彩な機能。モバイルSuicaにも対応



     

     

Google Pixel Watchは前述しているようにGoogleが自社ブランドで初めて放つスマートウォッチ。OSには最新のWear OS 3.5を採用し他社に先駆けてよりAndroid OSとの親和性を高めたモデルに仕上がりました。Android OSとの併用が前提となるため、初期セットアップ時にはスマートフォン側からの作業が必要ですが、Android OS側で自動でWear OSを認識しセットアップを開始できることも魅力的でした。


     

Pixel Watchで一番注目を集めているのがFeliCaに対応し、モバイルSuicaでの決済が可能となったこと。利用できるのはモバイルSuicaのみ、かつ、定期券やオートチャージは不可、というように制限が多いもののApple Watchユーザーの特権とも思われていた腕時計でのモバイルSuicaをAndroid派も利用できるようになったのは嬉しいもの。

写真ではPixel Watchを左上に着けていますが、本来私は左利きのため右腕に腕時計を着けています。そのため、改札や自動販売機で右腕をそのまま出せばタッチ決済が完了するためかなり楽。ただし、スマートフォンのFeliCaチップを改札に接触させるのに比べると、Pixel Watchの盤面を強く改札に当てるのも傷が怖く、優しくタッチしようとするとうまく当てられずエラーになることもありました。

      

Pixel Watch上に追加したSuicaはスマートフォン上のGoogle Payアプリでは管理できず、Pixel Watch以降で採用となる「Watchアプリ」(従前のWear OSアプリとは別)で管理。残高表示もこのWatchアプリ上のみとなるため、使い勝手はあまり良くありません。

JR~8591がPixel Watchのカード

ただし、Suica ID番号自体はモバイルSuicaとして発行されるため、この番号をJREポイントに紐づけて乗車分のJREポイントを獲得することは可能。また、JRE連携を行うことでMoneyForward Meなどでも利用履歴を取得できるため、Watchアプリから切り離してしまえば普通のSuicaと変わらない管理が可能でした。

また、TicWatch Pro 3 Ultra GPSのレビュー時にもご紹介したような、NFCを利用した決済にも対応。私の持っているカードであればEPOSカードとSONYバンクWALLETはPixel Watchにも追加し決済方法として利用できました。



     

     

Wear OS搭載のスマートウォッチでおなじみの、ホーム画面の横スワイプで利用できる【タイル】昨日も充実。デフォルトの状態では、左スワイプでGoogle Map、天気予報、睡眠状況、FitBitの順番で設定されており、一通りの情報に簡単にアクセスできました。




Googleアシスタントにも標準対応しており、「OK, Google」とPixel Watchに対して声をかけるだけで外出先からでも部屋のスマートホームの操作も可能。例えばこの寒い時期であれば帰宅前に地下鉄の駅で家の暖房を予め着けておくこともできるわけ。ただ、これをわざわざスマートウォッチでやる必要があるかって言われると微妙ですが。



     

個人的に良かったのはWear OS版LINEに対応していること。Wear OS版のLINEはWear OS 3.0以上のモデルのみに対応しており、現状Pixel WatchとFossileの一部のスマートウォッチのみが対応しており、TicWatchなどでは利用不可。

LINEではスマートフォンやPC版のLINEと同じようにトーク内容を確認したり、友だち追加用のQRコードを表示したり、メッセージを送ることが可能。もちろん、既読/未読のバッチもつくため、送ったメッセージの状態も確認できます。



メッセージの送信はキーボードを使って画面上で打ち込むことも、音声入力を利用することも可能。わざわざPixel Watchの小さい画面のキーボードで打ち込むメリットはないため、基本は音声入力を利用することになりますが、認識精度は十分高く実用性は十二分確保されています。


     

Wear OS版LINEの使用の有無に関わらず、通常のメッセージの通知も利用可能。予めプリセットしておいたメッセージを返信する簡易返信や、顔文字、音声入力、キーボードでの返信が可能なためスマートフォンを取り出さずに最低限の連絡をとることができます。

健康管理機能はFitbitをそのまま活用。ただし、ちぐはぐなところも



     

     

Pixel Watchの運動計測や心拍数・血中酸素飽和度測定といった健康管理機能はGoogleが買収したFitbitのアプリを流用。Google Fitのエクササイズも利用しようと思えば利用できますが、基本的にはFitbit側のアプリで歩数や、運動計測を行います。

運動モードは40種類を用意しており日常的に利用するスポーツは一通り網羅。個人的には乗馬が入っていなかったのが残念ですが、オールマイティーに使える「屋外スポーツ」モードもあったので問題はなさそう。

屋外系のスポーツであれば計測開始時からGPSでの測位を行い、移動情報と心拍数の状況から運動の効果をより精密に測定することが可能です。なお、位置計測はGPS・GLONASS・北斗・Galileoの4種類に対応。日本の準天頂衛星システムであるみちびきには非対応です。

   

    

計測した結果は自動的にスマートフォンのFitbitアプリに転送。移動ルートはもちろんハイキングであれば高度の情報、また、運動時の心拍数の遷移も確認できます。エネルギー消費量に関してもどの時点でどれ位消費したのかを可視化できるなど高度な計測が可能です。

     

      

24時間の心拍数測定にも対応し、自動的に睡眠の状況を計測する睡眠計測ももちろん対応。Fitbitアプリ上でその結果を常に確認することができ、健康管理機能は十分。ただし、他のスマートウォッチでは当たり前のように対応している睡眠時の心拍数グラフ等は有料プランであるFitbit Premiumへの加入が必要。個人的には意味不明な設定でした。

また、ここまでFitbitアプリでの管理をお見せしましたが、驚くべきことにPixel Watchで計測したデータはFitbitアプリに集約され、そこからGoogle Fitへの連携はできません。Google謹製のスマートウォッチなのにGoogle Fitに情報を集約できず、他のメーカーのスマートウォッチ(超廉価なRIVERSONGでさえも対応しているのに!)で当たり前のようにできるGoogle Fit連携ができないというちぐはぐな作りになっています。

動作はサクサク・スピーディー。バッテリーの消費もスピーディー



今回のレビューに際してPixel Watchを毎日2週間以上使い続けてきましたが、動作のサクサクさには目を見張るものがありました。TicWatchシリーズも十分早く動きましたが、Pixel Watchのほうが各アプリの起動はもちろん、画面遷移の一つをとっても素早く、ストレス無く利用できました。

ただし、素早いのは動作だけではなくバッテリーの消費も。腕時計である以上、常に盤面に時計が表示されていないと我慢できないタイプのわたしの場合は、日常的に使うならこまめに充電しないと厳しい印象を受けました。

午後10時26分のスクリーンショット

前日の23時頃に充電し、就寝時は「おやすみモード」に切り替え、起床後に常時画面ONで仕事に行ったときの午後10時の状態が上の状態。バッテリーは8%まで低下しており、あと1時間は持たないというレベルです。この日は仕事中に通知を見るという場面はあったものの運動計測は利用せず、つけっぱなしにしていただけ。あと飲み会にでも行っていれば、途中でバッテリー切れになることは容易に想像できます。

実際に旅行の際などにウォーキング計測などをするとGPSの利用もある分、モリモリバッテリーが減っていき24時間バッテリーを持たせることはほぼ不可能。朝に充電し直してなんとか夜まで持たせられるというレベルでした。これまでAmazfitやTicWatchといった2日以上余裕でバッテリーが持つスマートウォッチに慣れていると衝撃の短さ。ここにモバイルSuicaを入れて電車の乗り降りにというのは怖くて使えない、実用的ではないという印象でした。

また、就寝時に自動的に画面の常時表示や、通知をOFFにするおやすみモードについても不満が。他メーカーのモデルでは、予め時間を設定したり、睡眠を検知すると自動でDND(Don't Disturb)モードに切り替えることができますがPixel Watchではこれも不可。毎日寝る前に就寝モードに手で切り替えるなんてまったくスマートじゃないですよね。



バッテリー周りの性能があまりに悪いことで実用性を押し下げていますが、唯一救いがある点は充電スピード。USB Type-C接続の充電アダプターは30分で50%、80分で100%まで充電できる急速充電に対応しており、朝起床してから寝ている間に消費したバッテリー(おおよそ20%ほど!)を充電しきって出発することができます。毎朝スマートウォッチを充電する習慣を身に着けたい方にはピッタリかと。

ちなみに充電器はQi技術を流用しているらしく、他のQi充電器に置くと充電中の表示がされるよう。ただし、表示されているだけで実際には充電をしていないという悪魔のような仕様も実に魅力的。旅行のときに備えて、純正の充電ケーブルのストックの用意が必要そうです。

夢がつまったモデル。実用性は伴ってないけど



2週間超にわたって利用してレビューしてきたGoogleが初めて放つスマートウォッチ、Google Pixel Watch。モバイルSuicaへの対応や、LINE for Wear OSへの対応によるスマートなメッセージ送受信機能など使い勝手の高い機能を搭載し、ガジェッターの夢がつまったモデルでした。

ただ、健康管理・フィットネス管理がGoogle謹製ながらGoogle Fitに連携できなかったり、バッテリーが丸一日持たずにこまめに充電する必要があったりと一番肝心なところが抜けている印象。スマートウォッチはスマートな前に「ウォッチ=時計」なのだからまずはそこがきちんとできなければ無意味。夢はあるけど、実用性がない、というのが個人的な感想でした。

左からPixel Watch、TicWatch Pro 3 Ultra GPS、Amazfit GTR 4、Amazfit GTR 3 Pro、Amazfit T-Rex 2

現在はAmazfitから登場した最新のAmazfit GTR 4を利用していますが、丸一日常時画面ONで利用しても1日の終りに90%以上のバッテリーが残っている驚異のバッテリー持ちを目の当たりにしてすっかりPixel Watchを利用しなくなりました。デザイン性とロマン、その2つを求めたい方にはおすすめのモデル。本記事が参考になれば幸いです。



コメントを残す
  • Blogger Comment using Blogger
  • Facebook Comment using Facebook
  • Disqus Comment using Disqus

0 件のコメント :


中華スマートフォン

[中華スマホ][bleft]

DAP

[DAP][bleft]

中華パッド

[中華パッド][bleft]

オーディオ

[オーディオ][threecolumns]

旅行記

[旅日記][grids]

ガジェット

[ガジェット][threecolumns]