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【奈良ホテル】大阪からも京都からも一時間で着く贅沢なホテルステイ。明治42年創業のクラシックホテル、奈良ホテル宿泊記


青丹に良し 奈良ホテルは 咲く花の 匂うが如く 今盛りなり

世界を襲ったコロナ禍によって、国と国との移動が制限された2020年。オリンピック開催を間近に控え、インバウンド旅行需要の獲得に力を入れていた日本の観光業界は、それまでのバブルムードから一転して大打撃を受けることとなりました。

しかし、国外旅行に出られなくなった一方で、オーバーツーリズムが問題となっていた都市への国内旅行が見直される契機ともなりました。京都・日光など、外国人旅行客で溢れかえり、ややもすれば敬遠していた国内観光地へ出かけ「古き良き遺産の良さ」を実感した人も多いのではないでしょうか?そんな観光地の一つが奈良。修学旅行で著名社寺へポートフォリオとして訪れるものの、「京都に比べアクセスが面倒だし…」と足は遠のきがち。そこで土日を使って奈良を観光しつつ、日本を代表するクラシックホテルたる奈良ホテルで週末ステイという贅沢な旅行へ行ってきました。



「関西の迎賓館」との異名も持つ威風堂々とした本館に、こだわりの部屋を楽しむ



奈良ホテルは1909年(明治42年)、奈良市の中心部・高畑町飛鳥山の地で営業を開始。ポスト日露戦争の外国人観光客増加に合わせ、都ホテルの創業者である西村仁兵衛らが政府の援助を受ける形でホテルの開設に尽力。国有化・進駐軍による接収といった紆余曲折の歴史を経験しながらも、「関西の迎賓館」としての地位を確かなものとし、皇族・国内要人をはじめ海外からも賓客を迎え、開業以来の姿を今日に伝えるクラシックホテルの一つとして営業しております。

奈良ホテルは奈良公園の端、荒池を望む立地にあります。近鉄奈良駅からは1.5kmの距離なので歩いていくことも可能ですが、汗ばむ陽気で荷物も多かったため、今回はタクシーで移動。



車寄せの様子。威風堂々とした本館は寺社の多い奈良の景観に配慮し、壁面を白い漆喰で仕上げた瓦葺きの木造建築。チェックインタイムにはドアマンが待機しており、車で乗り付ける宿泊客を丁寧に迎え入れます。例えば川奈ホテルには「鉄道によるアクセスを無視し、自家用車で乗り付けることを前提」とした逸話があるように、クラシックホテルへ車やタクシーで向かうことは、一種の「様式美」かもしれません。



中に入ると、チェックイン待ちのためロビーに通されます。緊急事態宣言が解除され、徐々に宿泊施設へ客足が戻り始めた中での土日宿泊とあって、127室ある客室はほぼ満室、チェックインは20分待ちの大盛況。

 

チェックインを待つ間、マネージャーによるロビーの施設案内がありました。格式高い格子天井、創業以来から受け継がれる窓ガラス、アインシュタイン博士が演奏したピアノなどが紹介されました。

 

 

チェックインを済ませると、客室係が一組一組に付き添い部屋まで案内。今回予約したプランは「お部屋お任せ」ですが、本館のツインルームに通されました。

部屋はとてもシンプルで、ベッド2つの配置に3点式ユニットバスという配置。ユニットバスには浴室換気乾燥機も装備されていました。アメニティは特段変わったものは置いてありませんが、パッケージはすべて奈良ホテルのロゴ入りという格式の高さ。

 


テレビ台は元暖炉と思われる設計。暖炉は現在使われておらず、壁掛け式のヒーターを使用。古き良き意匠を残しながらも、設備は現代に合わせて更新され、それが全体として違和感のないレベルに調和されている点に技術を感じます。

ミニバーのコーヒーも奈良ホテルのロゴ入り、水は奥大和の名水を使用。切子のグラスが良いアクセントになっています。


 

  

  

夕食はメインダイニングルーム「三笠」にて。メインを肉としたフレンチのハーフコースは、オードブル・ブレッド・ポタージュスープ・デザートの構成。夏とあってか、緑をアクセントとし目にも鮮やかです。食後の紅茶はドイツ・ロンネフェルト社製。レモンを浮かべ、さわやかなフレーバーが口の中に広がります。


メインダイニングルームは創業以来受け継がれる伝統の空間。重厚華美な装飾や瀟洒な調度品に囲まれ、至高の時間を過ごすことができます。



ディナーに舌鼓を打ったら、是非外を歩きましょう。窓から溢れる光を、美しい漆喰の白が柔らかく受け止める宵の本館の姿は一見の価値ありと言えます。



数多ある館内の美術品が奈良ホテルの最大の魅力。さながら「宿泊できる美術館」のよう。一つ一つ味わうように眺めていくうちに、時が経つのを忘れます。




朝食もメインダイニングにて。洋食・和食・茶粥のセットメニューの中からチョイス。伝統の茶粥をいただきます。茶粥のふくよかな香りと味わいが、目覚めの体に沁みわたります。

焼鮭以外は、精進料理にインスパイアされたと思しき野菜が多めの構成。思わず箸が進む、美味な仕上がりでした。





チェックアウトまでは思い思いの時間を満喫。外を散歩するもよし、ロビーで新聞を読むもよし、館内を散策するもよし、喫茶室でケーキを食べるもよし。ホテル伝統の松の実ケーキは、外せないアイテムの一つ。





奈良ホテルの立地は、先にも述べた通り奈良公園の南端。興福寺や東大寺大仏殿に徒歩圏内という至便さは、観光の拠点としても申し分がない場所。今回の滞在では、両寺院とも人出も少なく快適に観光することができました。そんな中にあって、奈良公園の鹿さんはとてもお腹を空かせているのか、煎餅を見せるや否や我先に近寄ってきます。

ゆったりとした時間の流れる奈良で、ホテルの意匠や調度品、美食、歴史観光の全てを満喫した週末でした。新大阪・京都の両駅から1時間もすれば到着する都会のオアシス奈良ホテル。「新幹線の駅から、少しだけ足を延ばしてみる」というのも、コロナ禍における旅の組み立て方の一つとして良いでしょう。これからの季節は日々のリフレッシュのため、是非奈良ホテルを訪れ、古都奈良を再発見してみてください。


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