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【YONGNUO YN450】Androidスマートフォンにミラーレス一眼を合体!YONGNUO YN450ファーストインプレッション。課題は山積み、でも期待のモデル


先日公開した琴吹一馬氏による世界最小のフルサイズミラーレスカメラ、SIGMA fpのレビューは公開当初から非常に多くのアクセスをいただき、コンパクトなカメラに対する需要の高まりを実感。私自身は実はまだ触っていないものの、値段さえ安ければ欲しいモデルの一つです。

小さくて手軽なカメラというのは、単に大きいセンサーを小さい筐体に入れるだけではなく、ソフトウェア面での拡張性を高めるのも一つの方法。今年2月のCP+で出会ってから独占的に取材を続けてきたミラーレスカメラにAndroidを搭載してしまった変態ミラーレススマートフォン、YONGNUO YN450をついに入手世界初の実機レビューをお届けいたします。

YONGNUO YN450はマイクロフォーサーズ規格のセンサーを搭載したCanon EFマウントのミラーレスカメラにAndroid OSと4G接続機能を搭載した製品。カメラとして使えるのはもちろん、撮影した画像をAndroid上で編集し、そのままTwitterやInstagramに投稿できるという恐ろしい製品。現在中国本土のYONGNUOの公式通販のみで取り扱い中。今回は通販を利用できないため深センの事務所で現金で購入してきました。

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ハンディサイズで、カメラとしてのすべてを搭載。




今回購入したYN450、写真を見ても本体の小ささがよく分かるはず。指で摘んで持てるくらいの軽量さに、本体自体はかなり薄型になっていることでレンズを装着しない段階ではとってもコンパクト。でも、確かに見た目はカメラでもある、不思議な感じです。



付属品も必要最低限になっており、充電用のUSB-ACアダプターにmicroUSBケーブル、ストラップにバッテリーと説明書のみ。なお、本モデルは中国国内でのみ発売しているため説明書などの類はすべて中国語表記のみです。

本体にあらかじめ液晶保護フィルムが貼り付けてあるものの、あくまでも出荷時用の保護用といった感じのもの。使用しているうちにだんだん剥がれてくるため、ダイソーなどでフリーサイズの保護フィルムを購入して貼り付けるのがおすすめ。暇があればPDA工房に送りますが、まだお待ち頂ければ幸いです。

5インチのフルHDディスプレイを搭載

マウントはCanon EFマウント、センサーはパナソニック製マイクロフォーサーズ規格
マウント部の側面に三脚穴を搭載

マウント部の側面に三脚穴を搭載

本体底面にも三脚を搭載

バッテリーはカメラらしく着脱可能
側面カバーを開けるとSIMスロットとmicroSDスロット、microUSB端子、3.5mmステレオミニプラグ

まずは、本体の各面をチェック。何よりも目をみはるのが5インチの大型ディスプレイ。フルHD解像度の高精細度ディスプレイで、撮影時も画像閲覧時の視認性が高まっているのが特徴。マウントはCanon EFマウントを採用「世界で一番使われているから」とのことですが、Canonユーザーにとっては手元のレンズをそのまま使えるのもグッド。残念なのがマウント部がかなり出っ張っていること。このマウント部をもう少し薄く出来ていればレンズ装着時の厚みをさらに減らせたのではないかと感じます。

三脚穴は通常のカメラと同じく本体下部に搭載。加えてレンズのマウント部の両側面にも搭載しているため縦向きでの撮影時にも雲台に頼ることなく三脚を利用可能。本機はカメラらしくバッテリーは着脱可能で、また、4,000mAhと大容量なのも特徴的。

側面のカバーを開けると充電/データ転送用のmicroUSB端子に3.5mmステレオミニプラグ、NanoSIMスロット、microSDスロットを搭載。本体のストレージは32GBと少なめのため、RAWでガンガン写真を撮るという場合は、microSDを挿入するほうがいいかも。





私はCanon EFマウントのレンズは持っていなかったため、YN450の購入とあわせてYONGNUO YN35mm F2も購入。わずか155gという軽量さでありながら、広角の明るいレンズとして使えるのがポイント。なお、フルサイズ対応レンズであるため、マイクロフォーサーズの本機で利用した場合35mm換算で70mmと中望遠単焦点になる感じ。

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レンズを装着すると、本体のみのときのスマートフォンという感じは薄れ、ぱっと見る限り普通のカメラ。YN450+YN35mmの重量は535gでSONY α6000+SIGMA 30mm F2.8 DNの485gよりも重かったり。実際のところYN450が必ずしも最軽量でコンパクトとは言い切れないわけです。

AFが鬼門、オートモードよりもマニュアル撮影がポイントに


本体を起動し、撮影モードに移っていきます。Androidスマートフォンのため、電源を切った状態から起動するまでは数十秒を要するのは要注意。実際に外に持ち出すといった場合には、スマートフォンと同じように常に電源を入れた状態にしておく運用になります。

ロック画面からカメラの起動にかかる時間は通常のスマートフォンと同じレベル。カメラを選択したら1秒ほどですぐにアプリが起動し、AFが動くような感じ。ディスプレイをオフにしている限りは4G回線接続時でもバッテリー消費は少なく丸一日くらいならスタンバイで問題ない印象。ただし、私のYN450はなぜか数秒おきに画面がONになる現象が起きており丸一日はちょっと不安なレベル。




撮影モードは通常のデジタルカメラと同様に風景モードや花モード、スポーツモードにポートレートモードを搭載。自動モードとマニュアルモードも搭載しており、全部思った通りの設定で撮影が可能



画像の保存形式はJPEGとDNG(RAW)で選択可能。DNGの場合はホワイトバランスはオートのみとなり、なかなか微妙な設定で撮影することになります。シャッター音は消すことができるようになっているはずなものの、日本語に変更した場合は設定関係なく音がなるようです。なお、シャッター音はAOSP標準の音です。

この他、写真の保存場所の設定が可能でmicroSDと本体の切り替えが可能。microSDの場合動画撮影時には1ファイル4GBまでという制限がつくため、4K画質での撮影をする場合は注意が必要です。

撮影をする際にどうしても気になるのがAFの速度の遅さと、精度の悪さ。基本的にタッチパネルでAFの合焦ポイントを選択するわけですが、思った通りにピントが合わない、かつ、うまく合焦するまでに2,3秒は必要になる感じ。動いているものにAFで合わせるのは困難なため、マニュアルフォーカスが必須になります。

また、センサーサイズの問題もありどうしても全体的に暗くなってしまうのが本機。このため、オートモードだと意図せずF2といったガッツリ開放した状態や、ノイズ乗りまくりのISO1600などにされてしまうことが多く、基本的にマニュアルで設定することになるのも注意。絞り値固定モードもありますが、マニュアルモードで露出計見ながらのほうが信用できます。

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色の読み出しとコントラストの低さが絶望的。アップデート待ったなし



それでは、さっそく本機を利用して撮影した写真を御覧いただきましょう。撮影ポイントに応じてコメントを入れていきますが、現在このファーストインプレッションを書いている段階で利用しているファームウェアYN450.7.1.1.01ではまだカメラとして及第点に至っていないというのが正直な感想です。なお、写真は一部を除いて1600万画素DNG(RAW)で記録後、PCのAdobe Lightroomでトリミング、露出、ホワイトバランス、レンズの色収差補正などをすべて行ったもので、撮って出しではありませんので悪しからず。





最初は明るい場所での風景撮影から。比較用の撮影を行っていないため言い切ることはできないものの、色が明らかにセンサーから取得できていないのと、コントラストがありえない低さなのがお分かりいただけるかと思います。白の飛び方が10年くらい前のコンデジレベルといっても過言ではない印象です。2枚目のゴルフ場のコース、3枚目と同じ青空が広がっていましたが真っ白になっているのは閉口です。



ポートレートは被写体がいなかったため、隠している写真と後ろ姿でご愛嬌。直射日光を避けれている1枚目は案外普通の写り方ですが、日光の下の2枚目は「どうしてこうなった」というレベル。2枚とも肌色という概念を壊しに来てるのもポイント。









意外と普通に撮れていて安心したのが料理。若干不自然なところはあるものの、飯テロできるくらいには撮れてる感じがしません?もちろんLightroomが頑張ったというのもあるにせよ、それでもなかなかの仕上がり。ビールの写真とか、スマホじゃ撮れない感じありますしね。


YONGNUO YN450

Nikon D750

ただし、写真としての仕上がりは上のようにYN450とNikon D750では圧倒的に異なるのも事実。どう説明すればいいのか難しいですが、同じものを撮影したこの2枚で、圧倒的に質感はD750のほうが上というのはお分かりいただけるかと思います。

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夕暮れ時というのは、残酷にもカメラの性能が試される場面になります。明るい西日と影の部分のコントラストの表現も、刻々と変化する夕焼けの赤みと青さの表現はスマートフォンではまだまだ難しい部分。上の4枚の写真では、意外とYN450が健闘しているように感じるはず。

1枚目はそうとうクロップしていますが、Lightroomで頑張ったこともあり夕暮れ時の赤さをうまく出せている一枚。ただ、この明るさの写真を撮るために1/25というシャッタースピードを必要としているのは厳しい気もします。






夜景はYN450はかなり苦手。看板の明るさとそれ以外の暗さとコントラストの高い場所ですが、Lightroomで補正しきれないくらいに白が飛んでしまっています。また、一概にYN450のせいとは言えないものの、YONGNUO YN35mm F2の光学性能と相まってガッツリフレアが出てしまっているのも残念。

こんな感じで3週間であちこちで撮影した画像を御覧いただきましたが、ミラーレス一眼を名乗っているカメラでこの性能というのは流石に厳しすぎるのではないかというのが本音。いくら本体が3万円台という価格を踏まえても、値下がりしたα6000シリーズを買ったほうが遥かに良い写真が撮れるわけですし。


Androidは素のAndroid。Googleサービスは非対応






YN450に搭載しているOSはAndroid 7.1.1。基本的に全く手を入れていない素のAOSPのため、設定画面あたりはスマートフォンと何ら遜色ないレベル。ランチャーは入れ替えていませんが、アプリの追加自体は対応しているため標準で困ることはなさそう。

Google GMSは取得していないことから本機はGoogleのサービスの利用は不可。Google Play開発者サービス無しでも動作するGoogle日本語入力などは問題ありませんが、Chromeは同期が不可、Gmailなどは利用できません。Google Play自体が使えないため、アプリはAPK Pure経由、プロ版のアプリは基本使えません。

なお、スクリーンショットでは日本語化している状態ですが、本機は試作段階とは異なり複数言語の対応はなし。設定メニューに言語自体がないためMorelocale 2をAPKで持ってきて、自力で日本語化する必要があります。MoreLocaleの使い方はOrefolderさんの記事でも御覧ください。

Orefolder様:日本語が入ってない海外端末を『MoreLocale 2』で日本語化する方法

Adobe Lightroomを入れれば、Lightroom搭載一眼レフの完成



個人的に面白かったのはAPK PureからAdobe Lightroomをインストールし、ログインすればLightroom mobileが利用できること。Android版のLightroomはRAWの現像自体もできるため、撮影したDNG形式の画像を本体のみで現像することが可能






Lightroomの設定項目もPC版と何ら変わらなく、ホワイトバランスから露出、さらにはレンズプロファイルの適用も可能なため、PCと変わらない現像が可能。本体に搭載しているSnapdragon 625のおかげもあり現像自体はスムーズ。思いも寄らないところで無駄にハイスペックな本機が活かされた格好。基本的に本機で撮影した写真は現像しないと使い物にならないため、その場で現像できるのは素晴らしいところ。

また、4G回線にも対応しているため現像して書き出した写真をそのままTwitterにも、Instagramにもアップロード可能。これまでだと一眼レフで撮影後、スマートフォンにWi-Fi経由で飛ばして、軽く修正(ただし、JPEGベース)をしてアップロードという流れだったのが、YN450のみで完結するのは最高。

まだまだ発展途上。これからの改善でどうなるのか、期待したい



今回ファーストインプレッションをお届けしたYONGNUO YN450。現在は中国国内で数量限定で試験販売を行っている状態。YONGNUOの担当者からも購入をおすすめされないという状態で購入したわけですが、たしかにまだまだなところが多すぎる感じ。ただし、Androidスマートフォンをミラーレス一眼レフにする発想は素晴らしく今後画質が向上すれば最高のカメラになると思っています。


なお、YN450の開発自体は継続中でこの記事の執筆中にDNG形式でのコントラストと色の修正を行ったファームウェアも配信開始(私の手元にはまだ来ていません)。現在の第一世代モデルはEFマウントですが、今後マイクロフォーサーズセンサーに合わせてマイクロフォーサーズマウント採用のモデルも出す&交換可能とするとのことで、YONGNUOとしてはこのYN450の発売は決してゴールではない感じ。次に期待してファーストインプレッションを終わりたいと思います。

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