レビュー

[レビュー][threecolumns]

【SIGMA fp】なぜフルサイズで世界最小が必要なのか。SIGMA fpの実機レビューを通じて、フルサイズを感じる


ChinaRをご覧の皆さま、初めまして。わけあって、今回SIGMA fpをレビューさせていただくことになりました琴吹和馬(@kk_kgad)です。


発売日に予約してカメラを買うのは11年ぶりCanon EOS 5D mark2以来です。そして、今のところ後悔もしていませんし、ある程度以上満足しています。これを言っておかないと、ダメ出ししかしてない雰囲気になりかねないので、念のため。

あーる注:本記事では、琴吹氏のカメラにかける情熱から、フルサイズとは何たるか!まで本気で書かれています。写真のサンプルをすぐに見たい方は こちらへ

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世界最小・最軽量のフルフレームカメラ


SIGMA sd Quattro

SIGMAは1992年より独自のSAマウントでカメラを開発してきていて、現在もsd Quattroシリーズを販売中。しかし、フォトキナ2018でLマウントアライアンスへの参加が発表され、今後のカメラはすべてLマウントで発売されることになっています。第一弾として、フルフレームFoveonセンサー搭載のカメラが2019年に発売予定とされていましたが、こちらが2020年に延期され、急遽発表、発売されたのがSIGMA初のベイヤーセンサーを搭載したfp

フルフレーム世界最小・最軽量というだけあって、手のひらに収まる112.6 × 69.9 × 45.3mmのサイズ、SDカード・バッテリー込みで422gというのは中々にインパクトがあります。重さは持ってみると意外とずっしり。しかし、サイズは実際に見ると笑ってしまうほど小さく、9月に発売されたAPS-Cサイズのセンサーを搭載したミラーレスカメラCanon EOS M6 mark2と較べても、こちらは119.6 × 70.0 × 49.2mmのサイズ、SDカード・バッテリー込みで408gであり、とても近いレベルなのが分かるかと思います。

つまり、感覚的にはAPS-Cサイズのボディにフルフレームのセンサーが収まっていると考えればほぼ正しいのではないかと思います。では、このSIGMA fpを特徴ごとに説明しながらレビューをしていきましょう。


他のカメラの追従を許さない圧倒的な小ささ、これが世界最小・最軽量



上記の通りSIGMA fpは2019年10月現在、フルフレームセンサーを搭載したレンズ交換式デジカメとしては世界最小・最軽量で、これが最大のうり。比較対象になりそうなものが手元にすぐ用意できなかったので、350ccのビール瓶との対比ですが、いかに小さいかがお分かりいただけますでしょうか?



同じLマウントのAPS-Cサイズの素子を持つミラーレスカメラ、LEICA TL2(134 × 69 × 33mm)と較べても、幅はSIGMA fpの方が小さく、高さはほぼ同じ、厚みのみがTL2の方が薄いのが分かります。重さはSIGMA fpの408gに対してLEICA TL2が399gと誤差の範囲です。ただし、LEICA TL2はアルミニウムのブロックから削り出されており、その素材ゆえの重さがかなりあるのですが。




なお、同じLマウントのフルフレームセンサーを搭載したPanasonic LUMIX S1Rと較べるとこんな感じになるわけで…Panasonic LUMIX S1Rはミラーレスカメラの中でも極めて大きい方ですので、比較対象として良いかどうかは別として、いかにこのSIGMA fpが小さいかが分かっていただけるかと思います。


フルフレームセンサーを搭載


今まで一般的に使われてきた135フィルムとほぼ同じサイズのセンサーがフルフレーム(フルサイズ)センサーと呼ばれるものです。fpは35.9 × 23.9mm、有効画素数2,460万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載しており、50万円を超える中判サイズのセンサーを搭載しているカメラを除くと、もっとも大きなセンサーを積んだカメラの一つということになります。

大きなサイズのセンサーを用いるメリットは

1.ボケ量の増加

同一の絞り値を持つ、同一の画角(画角はセンサーサイズによって違うので、焦点距離が同じではなく、画角が同じという意味)での撮影においては、ボケの量が増大。背景がふわっとボケた写真を撮りたい場合には、大きな画像素子の方が圧倒的に有利です。

ただし、ボケの量を稼ごうと思うと、必然的に明るい=F値の小さいレンズが必要となり、これらは大きくなりがちです。そのため、最初の特徴である世界最小・最軽量のメリットがレンズによって失われてしまいかねません。

なお、キットレンズはシグマの「コンテンポラリー」ラインの45mm F2.8 DG DN (φ64.0mm×46.2mm 215g)というものですが、せっかくのフルフレームセンサーなのでF1.4のレンズにしようと思うと50mm F1.4 DG HSM(φ85.4mm×123.9mm 890g )となり、カメラの2倍もの重量になってしまいます。

ミラーレス専用設計のレンズが出てくればある程度小さく、軽くはなるでしょうが、明るいレンズが大きく、重いことには変わりがなく、どうしても世界最小・最軽量というメリットとは相入れなくなるでしょう。

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2.ノイズの減少

画像素子が大きいと、小さい場合と較べて(同じ画素数であれば)画素当たりの面積は大きくなりますから、光が多く入ってくることになり、結果として高感度でのノイズを減らすことができます。特にSIGMA fpは裏面照射CMOS採用とうたわれていますので、高感度に強いCMOSを使っているということになります。

さて、高感度を使用する時はどういう時かというと、一つにはシャッター速度をなるべく早くしたい時。早く動いているものを高速シャッターで静止しているように撮影したい時などに使用されます。絞り値を小さくする方法もありますが、ピントが合いづらくなる(被写界深度が浅くなる)ため、常に使える方法ではありません。ですから、センサーサイズが大きいことは良いことと言えます。

もっとも、より一般的に高感度を使用するのは光が足りない時です。暗い場所や夜間ということですね。その場合、できることは大きく三つあります。(フラッシュやライトで物理的に明るくするという事以外に、です)
・ ISO感度を上げる
・ 絞り値を小さくする
・ シャッター速度を落とす

この中でセンサーサイズが大きいほど有利なのはISO感度を上げる場合ですが、絞り値を小さくするには、先ほどのボケ量のところでも触れたように、大きく重いレンズが必要になってきますし、被写界深度も浅くなりますので、解決策として使えない場合もあります。
そうするとシャッター速度を落とせばいいのですが、三脚があればともかく、手持ちで手振れせずに撮影できるシャッター速度は知れています。それを補うのが手振れ補正です。

SIGMA fpには電子式手振れ補正が搭載されています。が、私は使用したことがないので、どれほど効果があるのかは未知数です。なぜ、使用したことがないのか?
SIGMA fpの電子式手振れ補正には以下の制約があります。

・ レンズ内手振れ補正と併用できません。
・ 約5%狭い範囲の画角で記録されます。
・シャッタースピードが1/4000秒~1/4秒に制限されます。
DNG(RAW)では使用できません

…まぁ、使えないとは言いません。機能としては付いていますし。ただですね、私はRAW撮影を使用しますので、どうしても使う機会がないのです。

ですから、ノイズ減少とそれによる夜間などの撮影に有利という意味では、6.0段のボディ内手振れ補正を有しているPanasonic LUMIX S1シリーズや、5.5段のSONY α7シリーズなどの方がよっぽど有利だと思います。

3. 画角が広くなる

当たり前ですが、大きな画像素子を詰めばより広い画角がカバーできます。ただし、それは同じレンズを使用した場合の話で、APS-C用の28mmのレンズとフルサイズ用の45mmのレンズであれば画角はほぼ同じとなります。45mmのフルサイズ用レンズをAPS-Cセンサーで使用した場合には72mm相当となり、画角は狭くなりますが、そもそもAPS-Cセンサーのカメラにフルサイズ用のレンズを使用する必然性はありませんし、フルサイズセンサーに対応したレンズは当然、大きく、重くなります。

つまり、システムとして小さく・軽くしたいのであれば、センサーサイズは小さい方が有利という事になります。

もちろん、その前提でフルフレーム世界最小・最軽量なのでしょうけれども。

ところで、SIGMAは先日ミラーレス専用設計のフルフレームセンサー対応の広角ズームレンズを発売しました。14-24mm F2.8 DG DNという「アート」ラインのレンズで開放からキリっとした解像をするとても良いレンズです。φ85.0mm×131.0mm、重量795gという大きなレンズですが、フルフレームセンサーにはぜひ欲しい画角です。従来の(ミラーレスではない)カメラ向けにも14-24mm F2.8というスペックのレンズが発売されていますが、こちらはφ96.4mm×135.1mm、重量1,150gであり、ミラーレス専用にすることによりかなりの軽量化ができていることからも、今後高スペックかつそこそこの重量のレンズが販売されるとは期待しています。


Cinema DNGに対応した4K動画撮影に期待


実は期待している機能の一つがこれなのですが…。期待していた、ないしは満足している、ではない理由が二つあります。一つは単純にきちんと試すだけの時間が作れていなくて、評価できる状態ではないということ。もう一つはファームウェアの更新がすでにアナウンスされていて、現状でベストないしは正常なテストができるかが不明であること。

なので、動画に関しては他のレビューがガツガツと出てくるでしょうし、そちらをチェックしてからでもテストは問題ないかなぁと思っています。単純な4K撮影で言えば私の場合はCanon XC15なども使用していて、S1ほどでないにしろ、S1Rもそこそこにきれいな動画を上げてきてくれているので、焦る必要もないわけで。ですので、SIGMA fpの一番の魅力はこのサイズで、あとの編集でどうとでもできるクオリティの動画が撮影できること…になるのではないかと期待しています。

それでは、SIGMA fpを実際に触ってみましょう。




はい、立ち上がりにかかった時間、2秒でございます。

ミラーレスカメラはONにしているだけで液晶など、電気を使う部分が多く、できるだけ電源はこまめに切りたいところです。切りたいところですが、いざ切ると、次に撮ろうと思ったときに2秒の待ち時間が出ます。AFも決して超高速とは言えないですので、実際にはもうちょっとタイムロスが出ます。動物などを撮影している場合には意外とシャッターチャンスを逃しますので、要注意です。ついでに言えば、タッチパネルの反応も今一つで、一世代前のLEICA TL(TL2ではない)を彷彿とさせます。

さて、撮影をしましょう。SIGMA fpはUSB-Cポートを搭載しており、そこから充電することができます。つまり、スマホ用に持ち歩いているモバイルバッテリーからカメラを充電することができます。そもそも、カメラに同梱されているのはUSB電源アダプタとUSB-Cケーブルのみです。

バッテリーが切れました。本体を使っていたので、サブバッテリーも充電されていません。そこでモバイルバッテリーをUSB-Cポートにつないで撮影を続け…られません。USB-Cポートにケーブルをつないだ状態では本体の操作ができません。よって、別にサブバッテリーを充電したいわけですが、本体経由での充電を前提にしているため、本体を使用している間は充電できません。


SIGMA社は純正アダプター・ケーブルを用いた方法以外でのUSB-C充電を想定していません。モバイルバッテリーを通じた充電では、逆にfp側が放電してしまう現象を実機で確認しました。ご注意ください。

まぁ、使用されている充電池BP-51はすでにdp Quattroシリーズで採用されていて、バッテリーチャージャーBC-51も、現在であれば実売2,000円弱で購入することができるのですが、正直に言えば、それくらい付けておいてほしかったです。

さて、写真を撮影しました。さっそく、SNSで共有しましょう。もちろん、パソコンは持ち歩いていますよね?

そう、2019年に発売になったこのデジタルカメラ、スマホ連携しません。BluetoothもWi-Fiもありません。NFC??ハハッ。

もう一度言います。2019年に発売になったカメラです。せめて、画像データをスマホに無線で移せればよかったなと思います。もっとも、Panasonic LUMIX S1Rも撮って出しのデータをスマホに移してSNSにUPすると後悔する品質になり、結局再度現像して上げ直すことになるので、そこまでこだわる必要があるかどうかはわかりませんが。ただ、お散歩カメラの「今共有したい」欲求を満たすものではありません


今すぐ共有したいあなたには、Android搭載のミラーレスはいかがでしょう?
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それでも買ってよかったSIGMA fp



最初に書きましたが、それでも買って後悔はしていません。満足というのは、まだ使いこなしていないので分かりませんが、良いカメラだと思うのです。

第一に発売前からSIGMAはfpの3Dデータを公開してサードパーティーに積極的にアクセサリー開発を促しています。SDKもカメラコントロールの部分に限って公開する方針と言っています。SIGMA fpをコアにどんなことができるようになるのか、考えるとワクワクします。一台のデジカメでこんなにワクワクするのは久しぶりです。

第二にやはり小さいことは良いこと。現在、軽い移動の時にはLEICA TL2を持ち歩いています。これにはLEICA ELMARIT-TL F2.8/18mm ASPH. (フルサイズ換算で28mm)というとても出来の良いパンケーキレンズ(約15万円)を付けており、SIGMA fpとキットレンズ45mm F2.8 DG DNにくらべて明らかに薄く、小さく、軽い組み合わせです。


ですが、最近は七工匠の55mm F1.4マニュアルレンズも一緒に持ち歩くことが多く、そうすると、SIGMA fpとさして大きさの差を感じません。重さで言えば、SIGMAのキットレンズの方が65g軽く、フルサイズにも対応しており、さらにオートフォーカスもしてくれます。その意味で、SIGMA fpはやはりお手軽なカメラなのです。さらに言えば、七工匠の55mm F1.4はAPS-C用なのでフルサイズでは周辺が使い物にならない(ケラレなどが出現する)のですが、電子接点がないため自動クロップの対象とならず、その「使い物にならない」周辺まで写ります。その部分も含めて好みに合うので、こちらを持ち運びに選んでも良いかなと思えるのです。
本当は、もう少しコンパクトな広角単焦点が出てくれるといいのですが。

第三にレンズの品質の良さ。SIGMAであれば20mmから105mmまでのF1.4単焦点シリーズとその前後14mm、135mmのF1.8単焦点はいずれも評価の高いレンズで、すべてLマウント化がアナウンスされています。専用設計のDG DNも期待を裏切らない品質でさらに何本か出てきてくれるでしょう。(いわゆる大三元はDG DNのラインで出てきてくれると信じているのですが)


撮影サンプル


画像をクリックすると原寸大で表示します。

キットレンズ SIGMA 45mm F2.8 DG DN


購入初日、ひどい雨にテンションが落ちるが、誘導馬にも乗っている方にもキツい一日

ご褒美か虹がでましたが、夕方はスタンドの影が落ちる走路

後ろの馬のボケ具合は好きですが、さらに奥は少し煩い気もします

絞り込んであえて光芒を。7枚羽なので14本入る

電線も含め、比較的きちんと解像している

雲の質感は悪くないが、観覧車の濁ったアクリル越しだからか、町のキレ味は今一つ

F16まで絞り込んだ雰囲気

上と似た構図でF8

一宮タワーの光の反射具合は好き

歩道橋の欄干に置いて撮影

同じ写真をRAWからゴリゴリに明るく現像した場合

朝日が水たまりに映り込んだので絞り込んで一枚

SIGMA 14-24mm F2.8 DG DN


アートラインだけあって、カリっとした解像感

AFCは比較的きちんと追従します


SIGMA 35mm F1.4 DG HSM + MC-21


SAマウントのレンズも最近のものであればマウントアダプターで問題なく使用できます

七工匠 7artisans 55mm F1.4


砂時計(?)を開放で撮影した場合

同じものを絞り込んだ場合

置きピンにするため、F4でもピント調整は甘くなりがち

ボケは煩めだが、ピントが来ているところの解像感は良いと思う

このレンズは本来APS-Cセンサー用のため、四隅にケラレが発生し、中心部以外は解像感が著しく劣ります

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